土砂災害警戒区域と盛土法の調査
- 市役所の調査で足りない、県土木事務所調査
- なぜ県の所轄になるのか
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や特別警戒区域(レッドゾーン)は、土砂災害防止法に基づいて都道府県知事が指定します。
- 盛土規制法(盛土規制区域)も同様に、都道府県が管轄しています。
- そのため、最新かつ正式な区域情報や図面は県土木事務所(または県の都市計画課など)にしかありません。
- 市役所でできること
市役所は直接の所轄ではないため、「公式な証明」や「最新図面の交付」は基本的にできませんが、
次のようなことはできる場合があります。
- 都市計画課や建築指導課で、参考資料として区域図を閲覧できることがある
→ 市が県からデータを受け取っている場合 - ハザードマップ(防災課・危機管理課)での確認
→ 土砂災害・浸水・津波などの危険区域を市民向けに案内 - 担当課から県土木事務所への電話確認の依頼
→ 市役所の窓口職員が、直接県に問い合わせてくれるケースもあります
- 時間の問題への対応策
- 事前に県土木事務所へ電話予約・メール依頼
→ 資料を先にPDFで送ってもらえる場合があります - 市役所調査の前に、午前中に県へ確認
→ 先に県の資料を押さえておけば、市役所での調査と照合可能 - 不動産調査代行業者を活用
→ 平日16時までに行けない場合の代替策として有効
- まとめ
- 市役所では公式な証明は出せないが、参考情報やハザードマップの提示は可能な場合がある。
- 正式な調査結果や証明書が必要なら、必ず県土木事務所で確認する必要がある。
- 時間が合わない場合は、事前予約・資料送付依頼・代理人調査で対応するのが現実的。
私道承諾書
「私道承諾書(しどうしょうだくしょ)」とは、不動産取引や建築確認申請などで私道(=個人が所有する道路)を通行・使用する許可を得るための書類です。とくに家を建てる・再建築する場合には非常に重要になります。
■ 私道承諾書とは?
◆定義:
私道の所有者から、通行やライフライン(上下水道・ガス・電気など)の埋設を認める旨の同意を文書で得たものです。
■私道承諾書が必要な場面
▲建築確認申請
私道に接している土地に建物を建てるには、接道義務を満たす必要があり、私道の使用許可がないと確認が下りないことがあります
▲不動産売買
買主が「その道を使って家に入れるのか?」と心配になるため、承諾書がないと取引が進まないことも。
▲ライフラインの引き込み
私道の下に配管を通すには、所有者の許可が必要です。後々のトラブル回避にもつながります
■私道承諾書に記載される内容(例)
- 私道の所在地・地番
- 承諾する内容(通行、掘削、ライフラインの埋設など)
- 承諾の条件(期限、将来の所有権移転時の効力など)
- 承諾者の氏名・住所・押印(実印が望ましい)
⚠️ 注意点・よくあるトラブル
■承諾は書面で
口約束では法的効力が不十分。書面+署名・押印が必須
■所有者が複数いる場合
全員からの承諾が必要。1人でも拒否すると建築不可のケースも。
■永続的な承諾ではないことも
期間限定や、所有者変更で無効になる可能性もあるため、内容をよく確認
■「位置指定道路」の場合は別ルール
建築基準法上の「位置指定道路」であれば、承諾書が不要なケースもあります
■ まとめ:私道承諾書は安全・安心のカギ
私道に接道する不動産を購入・建築する場合は、私道承諾書の有無が非常に重要です。将来のトラブルを避けるためにも、必ず内容を確認しましょう。
参考:国土交通省「建築基準法における道路の取扱い」
擁壁所有者
■擁壁の所有者を判断するポイント
① 擁壁がどちらの土地に属しているか
擁壁の設置位置が境界線のどちら側にあるかによって、所有者が判断されることがあります。
- 擁壁が片側の土地に完全にある → その土地の所有者が擁壁の所有者
- 擁壁が境界線をまたいで設置されている → 両方の所有者で共有している可能性あり
-
◇大きな高低差のある分譲地等の多くは、区画を考えてから工事をします。
境界杭を打ち付けて工事をしても実際は無理なので、造成工事が終わってから境界の杭を打ちます。
作成した図面通りに登記申請すると擁壁の間が境界になる事があります。
擁壁全てを上敷地所有者のもの、下敷地所有者のものではなく、その杭から境界になります。(擁壁は共有)
② 擁壁の目的と造成の経緯
擁壁が「どちらの土地を支えるために作られたのか」も重要です。
- 高い土地の所有者が土を崩さないように造成した → 高い方の土地の所有者が設置したとされ、所有者になるケースが多い
- 低い土地の所有者が土砂の侵入を防ぐために設置した → 低い方の所有者が設置した可能性あり
⛏ 実際には、開発業者や造成時の資料(開発許可図面、境界確認書、登記簿など)を確認する必要があります。
③ 登記簿や土地境界図で確認
- 擁壁そのものが建物ではないため、登記されていないことが多いですが、土地の登記簿や実測図などで境界線や擁壁の位置が確認できる場合もあります。
- 不動産調査士や土地家屋調査士に相談して、「境界標(杭)」の位置を確認するのが確実です。
よくあるトラブルと注意点
- 擁壁の修繕や崩落時の責任については、所有者の責任になる可能性があります。
- 共同利用している場合でも、誰が修繕費を出すかでトラブルになることがあります。
- 不動産の売買時にも、擁壁の所有・管理責任の確認は重要です。
■まとめ:擁壁の所有者は?
擁壁の位置 境界線のどちら側かを確認
造成の経緯 どちらの土地のために作られたか
登記・図面 登記簿や実測図、境界標を確認
不明な場合は、不動産専門家に相談するのがベストです
リースバック
「リースバック」は、自宅を売却して現金化し、そのまま賃貸として住み続ける仕組みです。老後資金や債務整理などの選択肢として注目されていますが、メリットもあればリスクもあります。
■ リースバックとは?
あなたが所有する家を不動産会社などに売却し、
その後「賃貸契約を結んで住み続ける」方式です
■リースバックのメリット(大丈夫な点)
① 現金化できる 不動産を売却して、老後資金・借金返済・事業資金などに充てられる
② 引越し不要 売却後も自宅に住み続けられるので、家族や生活への影響が少ない
③ 老後の資金計画に使いやすい 年金生活などで資金が心配な方にとって選択肢になりうる
④ 将来的に買い戻しも可能 条件を満たせば、自分の家を再び買い戻せる場合もある
(契約内容による)
⚠️ 注意点(気をつけるべき点)
① 売却価格が市場より安いことが多い 通常の売却より 2〜3割安くなるケースも
② 賃料が割高になる場合も 長く住み続けると、家賃負担が重くなることが
③ 住み続けられる保証はない 賃貸契約なので、更新されなければ 退去の可能性も
④ 買い戻し価格が高めに設定されがち 元の価格より高額になるケースもあるため要注意
■ リースバックは「大丈夫かどうか」の判断基準
✔ こんな人には向いている
- 老後の資金確保が急務
- 転居せずに生活を続けたい
- すでに子供に家を相続する予定がない
❌ 向いていないかもしれない人
- 売却益を最大化したい(普通に売った方が高く売れます)
- 家を最終的に残したい(賃貸では家が他人の所有物になる)
- 長期的に同じ家に絶対に住みたい
■ まとめ:リースバックは「手段のひとつ」
リースバックは「危険な制度」ではありませんが、目的と条件をしっかり整理してから選ぶべきサービスです。
不動産会社や金融機関によって条件は大きく異なるので、複数社から見積もり・比較するのがとても大事です!
必要であれば、「無料でリースバック診断してくれるサービス」や「信頼できる会社の見つけ方」などもご案内できますよ?
参考:国土交通省「住宅リースバックに関するガイドライン」
宅地建物取引業法第35条重要事項説明
宅地建物取引業法第35条および第35条の2の概要を説明します。
■宅地建物取引業法 第35条:重要事項の説明
目的:宅地や建物を売買・賃貸する契約の前に、買主や借主に対して「重要な事項」をきちんと説明する義務を定めています。
主なポイント:
- 宅地建物取引士が書面(重要事項説明書)を使って説明しなければならない。
- 主な説明事項には、以下のような内容が含まれます:
- 登記された権利関係(所有権・抵当権など)
- 法令による制限(都市計画法・建築基準法など)
- 私道の負担の有無
- 物件の概要(所在地、面積、構造など)
■宅地建物取引業法 第35条の2:環境確保に関する説明
目的:環境保全や住環境の安全に関する事項を取引前に明示する義務を追加しています。
主なポイント:
- 特定有害物質(土壌汚染、アスベストなど)の存在についての説明義務
- 周辺の生活環境(悪臭、騒音など)についての情報
- 自治体が定める条例などによる制限がある場合の説明
■補足
この2つの条文は、「取引の公正性」と「消費者の保護」を確保するために非常に重要な規定です。
特に第35条の説明は「重要事項説明」として、不動産業者の重要な義務とされています。
競売
■競売(けいばい)とは?
競売とは、主に債務者が借金を返済できない場合に、裁判所などの公的機関を通じて不動産や動産(物品など)を売却し、その売却代金で借金を回収する手続きのことを指します。一般の人も入札に参加できるのが特徴です。
■主な種類
- 不動産競売
- 借金の担保となっている家や土地などの不動産を裁判所が売却。
- 三点セット(物件明細書・評価書・現況調査報告書)を見て入札判断をします。
- 競売物件は通常の市場価格より安く買えることがあります。
- 動産競売
- 自動車、宝石、美術品などを売却。
- 主に地方裁判所が行います。
競売の流れ(不動産の場合)
- 債権者(金融機関など)が競売を申し立てる。
- 裁判所が物件を調査し、「三点セット」を作成。
- 期間入札が実施される(通常1〜2週間)。
- 最も高い金額で入札した人が落札。
- 売却代金を納付すると所有権が移転。
■メリットとデメリット
▲メリット
市場価格より安く購入できる可能性
不動産投資のチャンス
市場に出回らない物件も入手可能
▲デメリット
現況のまま引き渡し(瑕疵ありの場合も)
立ち退き交渉が必要な場合がある
内見ができないことが多い
孤独死
家族や他人に看取られることなく、一人きりで亡くなることを指します。
日本では高齢化や単身世帯の増加により、特に社会的な問題として注目されています
■ 孤独死の定義(一般的な意味)
法律上の明確な定義はありませんが、一般的には以下のように理解されています
- 一人暮らしの人が自宅などで死亡
- 死亡後、一定期間発見されない
- 誰にも看取られない状態での死
■ 孤独死が問題とされる理由
発見の遅れ 数日〜数週間気づかれず、腐敗や異臭などの問題が生じる
精神的な孤立 家族・近隣とのつながりが希薄で、助けを求められない
賃貸住宅での影響 オーナー側が事故物件となることを懸念し、家主・管理側に経済的負担が発生
社会的孤立 高齢者だけでなく、若年層でも増加傾向がある
■ 孤独死の背景
- 高齢化社会(特に「8050問題」など)
- 未婚化・晩婚化
- 地域のつながりの希薄化
- 経済的困窮や精神的疾患
- 仕事や人間関係からの疎外
■ 孤独死の予防策
見守りサービス 民間や自治体による高齢者の定期確認(訪問・センサー付き電球など)
地域とのつながり 町内会、サロン、ボランティアなど地域活動への参加促進
賃貸住宅での対策 孤独死保険(家主向け)、家族や保証人との連携
定期的な連絡の習慣 友人・親族とのLINE・電話など
■ 孤独死と不動産(参考)
孤独死が起きた住宅は「心理的瑕疵物件(事故物件)」とされる可能性があり、以下のような影響が出ます
- 賃料の低下
- 次の借主への告知義務(一定期間)
- 原状回復・特殊清掃費の発生
占有権
■ 占有権とは?
占有権とは、「物を事実上支配している人が持つ権利」のことです。
たとえば、土地や建物を実際に使用・管理している人が「占有者」となり、その状態を法律的に保護するための権利です
■ 占有権の特徴
- 登記や契約がなくても成立
→ 実際に使っていれば占有があるとされます。 - 所有権と異なる
→ 所有者でなくても、借りている人や不法占拠者でも「占有者」としての立場があります。 - 法律上の保護がある
→ 他人が勝手に物を奪ったり壊したりした場合、「占有者」として返還請求や損害賠償ができることがあります。
■ 占有の種類
自主占有 自分が所有者のつもりで占有している(例:買ったつもりで住んでいる)
他主占有 所有者が別にいて、その人の承諾で使っている(例:賃貸借)
■ 占有権に関連する法律効果
- 占有回収請求(民法198条)
→ 不法に奪われた場合、占有者はその物を取り戻す請求ができます。 - 時効取得の起点になる
→ 例えば、土地を20年間占有し続けると所有権を取得できる可能性があります(時効取得)。 - 善意・悪意の違いが影響
→ 占有者が「本当の所有者だと思っていた(善意)」かどうかで法的保護の範囲が変わります。
■ 具体例で理解
- Aさんが土地を借りて使っている → Aさんに占有権がある(他主占有)
- Bさんが誰の土地か知らずに住んでいる → Bさんに占有権があるが、所有権とは別
- Cさんが他人の物を勝手に持ち帰った → 不法占有だが、法律上の「占有者」として扱われることもある
■ まとめ
- 占有権は「実際に持っていること(事実上の支配)」に基づく権利
- 所有者でなくても認められる
- 法的保護がある(占有回収、時効取得など)