新耐震基準
「新耐震基準」とは、日本で1981年(昭和56年)6月に施行された建築基準法改正によって導入された耐震設計の基準です。この基準は、建物が震度6強〜7程度の大地震でも「倒壊・崩壊しない」ことを目指しています
■背景と特徴
- 旧耐震基準(1971年以前)
→ 「震度5程度の地震で損傷しないこと」が目安
→ 大地震時の倒壊リスクが高い - 新耐震基準(1981年以降)
→ 「震度6強〜7でも倒壊しない」ことが基本方針
→ 構造体の設計に鉄筋や壁量の強化が盛り込まれた
■築年数での判断目安
1981年6月以前 旧耐震基準
1981年6月以降 新耐震基準(重要)
2000年以降 より厳格な改訂あり
■注意点
- 新耐震基準以前の建物でも耐震改修工事で補強が可能です。
- マンションや戸建ての購入時は「竣工日」や「検査済証」の確認が大切です
準確定申告
「準確定申告」について、ご説明します。
■準確定申告とは?
「準確定申告(じゅんかくていしんこく)」とは、亡くなった人(被相続人)が生きていた期間の所得について行う確定申告のことです。
通常の確定申告は本人が行いますが、亡くなった場合には、相続人が代わりに行う必要があります。これが「準確定申告」です。
■なぜ必要なの?
亡くなった方が、亡くなる年の1月1日から死亡日までに得た収入(給与所得・年金・事業所得など)があった場合、それに対する所得税や住民税を正しく申告・納税する必要があります。
■誰がやるの?
準確定申告は、相続人全員の連名で行います。
ただし、相続人のうちの1人が代表して提出することも可能です。
■提出期限は?
被相続人が亡くなった日から 4か月以内 に、税務署に提出しなければなりません。
例:4月15日に亡くなった場合 → 8月15日が提出期限
■提出先は?
被相続人の住所地を管轄する税務署です。
■必要な書類:
- 準確定申告書(確定申告書の様式を使用)
- 被相続人の源泉徴収票や医療費控除の明細など
- 相続人の署名または「付表(相続人の一覧)」の提出
■申告が必要なケース例:
- 亡くなった方が給与所得者で、年末調整されていない
- 年金収入が400万円を超えていた
- 医療費控除や雑損控除を受ける予定だった
- 不動産や株の譲渡益があった
■注意点
- 準確定申告によって還付金が出る場合もあります。過払いの税金は、相続人が受け取れます。
- 準確定申告とは別に、相続税の申告・納付(原則として死亡後10か月以内)も必要です。
終身医療保険
終身医療保険は、人生を通じて医療リスクに備えることができる保険で、多くの方に選ばれている保険商品です。以下では、終身医療保険の主な利点をわかりやすくご紹介します。
■ 終身医療保険の利点(メリット)
① 一生涯保障される
- 契約期間に終わりがなく、死亡するまで保障が続く。
- 高齢になってからの入院や手術にも対応できる。
② 保険料が一定(多くは「終身払」または「短期払い」)
- 若いうちに加入すると、その時点の保険料が一生変わらないケースが多い。
- 老後の医療費不安に備えやすい。
③ 解約返戻金があるタイプもある(※商品による)
- 掛け捨て型ではないタイプなら、途中で解約した際に戻るお金(返戻金)があることも。
- 将来的な資金としての活用も可能。
④ 高額療養費制度を補完できる
- 公的医療保険だけではカバーできない差額ベッド代・先進医療費・通院費用などにも備えられる。
⑤ 特約で保障をカスタマイズ可能
- 例:がん特約、先進医療特約、通院保障などをニーズに合わせて追加できる。
- 自分や家族の病歴に応じて柔軟に設計可能。
■ こんな人におすすめ
▲若いうちに加入したい人 保険料が安く、将来の医療リスクに早めに備えられる
▲老後の医療不安がある人 高齢期の入院・手術費用への備えができる
▲長期の安心を求める人 保険の更新手続きが不要で、安心感が持てる
⚠️ 注意点(デメリットもチェック)
- 保険料は定期型より高め(長期保障のため)
- 若いうちに医療費がかからなければ、元が取れないと感じることも
- 加入時の健康状態により、加入できない・制限がある場合も
小規模宅地等の特例
「小規模宅地等の特例(しょうきぼたくちとうのとくれい)」について、相続税の節税においてとても重要な制度ですので、分かりやすくご説明します。
■小規模宅地等の特例とは?
相続した土地が「自宅」や「事業に使っていた土地」である場合、一定の条件を満たせば、相続税の課税評価額を最大80%減額できる特例制度です。
これは、残された家族が住み続けたり、事業を継続したりするのに過大な税負担がかからないようにするための措置です。
■どれくらい減額されるの?
自宅用地(特定居住用宅地等) 80%減額 330㎡まで
事業用地(特定事業用宅地等) 80%減額 400㎡まで
貸付事業用地 50%減額 200㎡まで(※条件厳しめ)
■対象になる土地の種類
① 特定居住用宅地等(自宅)
- 被相続人が住んでいた土地
- 配偶者、同居していた子などが引き続き居住する場合に対象
② 特定事業用宅地等(事業)
- 被相続人が事業に使っていた土地
- 相続人が事業を引き継ぐ場合に対象
③ 貸付事業用宅地等(賃貸)
- 被相続人がアパートや駐車場などに貸していた土地
- 相続人が貸付事業を継続する場合(※要件厳しめ)
■具体例
たとえば、自宅の敷地評価額が6,000万円で、面積が330㎡以内の場合:
◆ 評価額 6,000万円 ×(1 - 0.8)= 1,200万円に圧縮!
→ この1,200万円に対して相続税がかかるため、大幅に節税できます。
■適用を受けるための主な要件(例)
自宅用地 相続人が配偶者 or 同居していた子などで、その後も住み続ける
事業用地 相続人が事業を継続する意思と実態がある
貸付用地 相続開始前3年以内に貸付を開始したものは原則対象外 など
※配偶者が取得する場合は、無条件で適用可能(例:自宅)
■手続き・申告について
この特例を使うには、相続税の申告書に特例の適用を申請する必要があります。
忘れると適用できないので要注意です!
■まとめ
メリット 土地の相続税評価額が最大80%減額
対 象 自宅、事業用、貸付用の土地(条件あり)
要 件 居住・事業継続、面積制限など
手続き 相続税申告で適用申請が必要
◆参考資料:国税庁「小規模宅地等についての課税価格の計算の特例」
相続税の基礎控除、配偶者特別控除
相続税の「基礎控除」と「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」について、ご説明します。
■相続税の基礎控除とは?
相続税には「基礎控除」という制度があり、相続財産がこの金額以下であれば、相続税はかかりません。
■基礎控除の計算式
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
<例>
法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合
3,000万円 +(600万円 × 3)= 4,800万円
→ 4,800万円までの遺産には相続税はかかりません。
■配偶者の税額軽減(配偶者控除)とは?
配偶者が相続する場合、特別に大きな控除(非課税枠)があります。これを「配偶者の税額軽減」といいます。
■非課税限度額
配偶者が相続する財産については、以下のどちらか大きい方まで非課税になります。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分までの金額
つまり、配偶者が多くの財産を相続しても、一定の範囲なら相続税がかからないという制度です。
■例
配偶者と子ども1人が相続人 → 配偶者の法定相続分は 1/2
遺産が3億円の場合 → 配偶者が1億5,000万円を相続 → 非課税(法定相続分以下)
■注意点
- 配偶者控除を受けるには相続税の申告が必要です(ゼロでも申告しないと控除は適用されません)。
- 配偶者控除があるとはいえ、将来的な二次相続(たとえば配偶者が亡くなった後の相続)を考慮することも大切です。
国税庁
「NO4158 配偶者の税額の軽減」 ご参照ください。
長期譲渡所得と短期譲渡所得
不動産などの資産を売却する際にとても重要です。「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」は、資産を保有していた期間(所有期間)によって分かれるもので、それによって税率も大きく変わります。
■ 長期譲渡所得 vs 短期譲渡所得
◆短期譲渡所得
5年以下 短期間の所有での売却。投機的とみなされ、税率が高い。
約39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税)
◆長期譲渡所得
5年超 長く保有した資産の売却。優遇税率が適用される。
約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)
■ 所有期間のカウント方法
- 譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えていれば「長期」、5年以下なら「短期」となります。
- カウントは「取得日から譲渡した年の1月1日まで」です。
■ 譲渡所得の計算式
譲渡所得=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除(※条件付き)
その後、長期 or 短期に応じた税率が適用されます。
■ 特別控除の例(長期譲渡所得で適用されやすい)
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 10年超保有の軽減税率の特例
- 買換え特例(一定条件で課税繰り延べ)
■ 補足
- 不動産の「登記日」ではなく実際の引渡日(契約成立日)が取得日とされます。
- 相続や贈与で取得した場合は、元の所有者の取得日・取得価格を引き継ぐルールがあります(取得費引継ぎ制度)。
収益還元法
■収益還元法とは?
収益還元法(しゅうえきかんげんほう)は、不動産や企業の価値を評価する手法の一つで、
将来的に得られると予測される収益を現在の価値に割り引いて評価する方法です。
■具体的にはどういうこと?
この方法では、次のようなステップで評価を行います:
① 収益の見積もり
その資産(例:賃貸マンションやオフィスビル)から将来得られる年間の純収益(NOI)を計算します。
- 回り(キャップレート)の設定
投資家が期待する利回りを設定します。たとえば5%など。
③ 価値の算出
次の式を使って評価額を計算します:
■収益還元法の種類
- 直接還元法:単年の純収益を還元利回りで割って価値を算出。
- DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法):将来の複数年分のキャッシュフローを現在価値に割引いて評価。
■どんなときに使うの?
- 不動産鑑定評価(賃貸不動産など)
- M&A(企業買収時の企業価値評価)
- 投資判断(株式やREITなど)
■収益還元法の事例:賃貸マンションの評価
所在地:東京都内
- 1Kタイプの部屋が10戸あるマンション
- 月額賃料:1戸あたり8万円
- 空室率:5%
-
年間運営費:100万円
① 年間総収入(GPI)
8万円×10戸×12ヶ月=960万円
② 空室損失・滞納損失(5%)
960万円× 5% = 48万円
③ 実効総収入(EGI)
960万円−48万円=912万円
④ 純収益(NOI)
912万円−100万円(運営費)=812万円
⑤ 還元利回り(例:5%)
⑥ 収益還元法による評価額
812万円÷0.05=1億6240万円
■結果
このマンションの評価額は 約1億6,240万円 になります。
土砂災害警戒区域と盛土法の調査
- 市役所の調査で足りない、県土木事務所調査
- なぜ県の所轄になるのか
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や特別警戒区域(レッドゾーン)は、土砂災害防止法に基づいて都道府県知事が指定します。
- 盛土規制法(盛土規制区域)も同様に、都道府県が管轄しています。
- そのため、最新かつ正式な区域情報や図面は県土木事務所(または県の都市計画課など)にしかありません。
- 市役所でできること
市役所は直接の所轄ではないため、「公式な証明」や「最新図面の交付」は基本的にできませんが、
次のようなことはできる場合があります。
- 都市計画課や建築指導課で、参考資料として区域図を閲覧できることがある
→ 市が県からデータを受け取っている場合 - ハザードマップ(防災課・危機管理課)での確認
→ 土砂災害・浸水・津波などの危険区域を市民向けに案内 - 担当課から県土木事務所への電話確認の依頼
→ 市役所の窓口職員が、直接県に問い合わせてくれるケースもあります
- 時間の問題への対応策
- 事前に県土木事務所へ電話予約・メール依頼
→ 資料を先にPDFで送ってもらえる場合があります - 市役所調査の前に、午前中に県へ確認
→ 先に県の資料を押さえておけば、市役所での調査と照合可能 - 不動産調査代行業者を活用
→ 平日16時までに行けない場合の代替策として有効
- まとめ
- 市役所では公式な証明は出せないが、参考情報やハザードマップの提示は可能な場合がある。
- 正式な調査結果や証明書が必要なら、必ず県土木事務所で確認する必要がある。
- 時間が合わない場合は、事前予約・資料送付依頼・代理人調査で対応するのが現実的。
不動産取得税
■ 不動産取得税とは?
不動産(土地や建物)を有償または無償で取得したときに課される税金です。都道府県が課税主体で、一度きりの税金です。
■ どんなときにかかるの?
不動産を購入した ✅ かかる
新築・建売住宅を購入 ✅ かかる
建物を新築した ✅ かかる
相続で取得した ❌ かからない
贈与で取得した ✅ かかる(ただし別途、贈与税も)
■ 税額の計算方法
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率
■ 標準税率:
- 土地・建物ともに 4%
※ただし、軽減措置により以下のように軽減されるケースが多いです。
■ 主な軽減措置(住宅用の場合)
◎ 新築住宅の場合:
- 税率:3% に軽減
- 建物の評価額から1,200万円の控除(一定条件あり)
◎ 土地の軽減:
- 課税標準額から控除あり(計算が少し複雑)
- 例:一定の面積以下の宅地であれば1/2に減額
◎ 中古住宅の軽減(条件あり):
- 耐震基準を満たす住宅(昭和57年以降の建築など)であれば控除対象に
- 建築年数や用途によって異なるので、都道府県税事務所に確認が安心
■ 支払いのタイミングと方法
- 不動産を取得してから数か月後に納税通知書が届く
- 通常は都道府県税事務所から送られてきます
- コンビニや銀行、スマホ決済などで支払い可能
■ 注意点
- 固定資産税評価額は、市場価格とは異なるため注意
- 軽減措置を受けるには申告が必要な場合もあるので、通知書を受け取ったら内容をよく確認
- 贈与による取得は、贈与税も別途かかる場合あり
■ 相談先
- お住まいの都道府県税事務所
法定相続情報証明制度
「法定相続情報証明制度(ほうていそうぞくじょうほうしょうめいせいど)」について、ご説明します。
■法定相続情報証明制度とは?
「法定相続人が誰なのか」を法務局が公的に証明してくれる制度です。
相続の手続き(銀行・証券・不動産登記など)では、通常、戸籍を何通も提出する必要がありますよね?
それを簡略化するために、「法定相続情報一覧図」という1枚の証明書を使えるようにしたのがこの制度です。
■どんなときに使える?
相続が発生したあとの、以下のような手続きで利用されます:
- 銀行口座の解約
- 不動産の相続登記
- 株式・証券の名義変更
- 相続税申告 など
■どんな書類がもらえるの?
法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し(登記官の認証付き)」です。
これを各機関に提出すれば、戸籍一式を毎回出さなくて済むようになります。
■手続きの流れ
- 戸籍一式を取得(被相続人の出生から死亡まで、相続人の現在の戸籍など)
- 「法定相続情報一覧図」を作成
- 登記所(法務局)に申出
- 法務局が確認・認証し、写しを交付
※手続きは無料!
※司法書士などの専門家に依頼することも可能です。
■メリットまとめ
戸籍提出が1回で済む 毎回戸籍をコピーする手間がなくなる
無料で取得できる 認証手数料も不要
何枚でも写しを交付してもらえる 複数の金融機関に同時提出できる
手続きがスムーズに進む 書類チェックの時間が短縮
■注意点
- 法定相続情報一覧図の内容にミスがあると、再提出が必要
- 法定相続人が確定していないと使えない(相続放棄がまだの場合など)
■どこで手続きできる?
法務局(登記所)で、郵送や窓口で申出可能です。
全国どこの法務局でもOK(一部制限あり)







