後見人制度
成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどにより判断能力が十分でない人を財産の管理や契約の手続きなど、自分で行うことが難しい人が不利益を受けないように、法律的に支援する制度です。家庭裁判所が選任した「成年後見人」などが代わってサポートします。
成年後見制度は、大きく分けて以下の3種類に分かれます
1. 法定後見制度
本人の判断能力の程度に応じて、次の3つに分類されます。
- 後見:判断能力がまったくない人
- 保佐:判断能力が著しく不十分な人
- 補助:判断能力が不十分な人
これらの場合、家庭裁判所が成年後見人・保佐人・補助人を選任します
2. 任意後見制度
将来、判断能力が低下したときのために、あらかじめ自分が信頼できる人(任意後見人)と契約を結んでおく制度です。本人の判断能力が低下してから、契約が効力を持ちます
3. 後見人の役割
- 財産管理(預貯金、不動産など)
- 契約の代行・同意(施設入所契約など)
- 医療や福祉サービスの手続き など
制度を利用することで、本人の生活と権利が守られ、家族の負担も軽減されます
残置物
残置物
残置物とは、賃貸物件や売買物件などで契約終了後、
前の入居者・所有者が置きっぱなしにした家具・家電・荷物などを指します。
一般的には以下のようなケースで発生します。
- 賃貸の退去時に持ち帰られなかった家具や家電
- 売買で引き渡し後に前所有者の荷物が残っている場合
- 借主が夜逃げ・行方不明になった場合の荷物
法的な扱い
法律的には「所有権は元の持ち主にある」ため、勝手に処分するとトラブルになります。
特に賃貸契約の場合は、
- 借主や相続人に連絡
- 一定期間保管
- 内容証明などで通知 といった手続きを踏む必要があります。
処分の流れ(例:賃貸)
- 持ち主に通知(電話・郵送・内容証明)
- 一定期間の保管(通常は1〜3か月程度)
- 持ち主が引き取りしない場合 → 合意書や裁判所の手続きを経て処分
注意点
- 残置物を勝手に売る・捨てると損害賠償請求される可能性あり
- 生ごみや危険物は衛生上・安全上の観点から早急に行政指導で処理可能な場合もあり
- 空き家や相続案件では「残置物撤去業者」を使うケースも多い
空家の3,000万円特別控除 耐震リフォーム
■相続人3人以上は2,000万円控除に
2024年(令和6年)1月1日以降に対象となる「相続した空き家」を売却した場合で、相続人が3人以上いると、これまでの「3,000万円の特別控除」が一人あたり2,000万円に引き下げられます。
これは2023年度の税制改正による変更で、控除額の減額とともに一定の要件が緩和されています 。
◆ ポイントまとめ
◆変更前(~2023年12月31日の譲渡) 一人あたりの控除額:3,000万円
譲渡前整備が必須(耐震改修や解体)
◆変更後(2024年1月1日以降の譲渡) 相続人が2人以下 一人あたりの控除額:3,000万円
相続人が3人以上 一人あたり:2,000万円
譲渡から翌年2月15日までに買主が工事すればOKに
◆該当するかを確認する方法
- 譲渡日が2024年1月1日以降であること
- 相続人が3人以上いるかどうか
- 相続後3年以内か、かつ譲渡期限が令和9年(2027年)12月31日までに完了
- 空き家が対象要件(築年数・用途・耐震等)を満たしていること
これらの条件を満たす場合、控除額は通常の3000万円ではなく、2,000万円になりますのでご注意ください。
■国税庁公式解説より(改正内容抜粋)
被相続人居住用家屋等の譲渡所得の3,000万円特別控除の特例については、
譲渡時までに耐震改修工事が完了していない場合でも、譲渡日から翌年2月15日までに買主が耐震改修を完了し、証明書を取得したときは適用可能 となる。(令和6年度税制改正)
✔️ 令和6年4月1日以降の譲渡分で
✔️ 買主が翌年2月15日までに耐震改修+証明書取得する
■特例の適用を受けるための要件ハの(イ)(ロ)(ハ)の(ロ)
(ロ) 譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったこと。
■空き家の3,000万円特別控除を使うには、一定の条件のもと、
売却前に耐震リフォームをするか、建物を解体して土地として売却するという要件が含まれています
■ ポイント:売却前の「耐震改修」または「解体」が必須
これは、旧耐震基準の建物(昭和56年5月31日以前の建築)が多く老朽化しており、そのまま流通させると安全面で問題があるためです。
そのため、以下のいずれかをしなければ、3,000万円控除は使えません。
① 建物を残して売る場合
- 現行の耐震基準に適合するようにリフォーム(耐震改修)してから売却する。
② 建物を壊して土地として売る場合:
- 売却前に建物を解体して更地にする。
■ 国税庁の公式記載(要約)
昭和56年5月31日以前に建築された建物であって、譲渡の時までにその建物を次のいずれかの方法で処理していること
・耐震基準に適合するように補強工事を行うこと
・除却(取り壊し)して土地のみを譲渡すること
■ 補足:耐震リフォームにかかる費用と手間
- 耐震リフォームには100万円〜200万円以上かかることが多く、手続きも煩雑です。
- そのため、実務では建物を解体して更地で売る方が簡単かつ確実というケースが多く見られます
つまり、「解体 or 耐震リフォーム」は3,000万円特別控除を受けるための重要な要件の一つです
売却を検討されている場合は、早めに相談して下さい。
建蔽率容積率
建ぺい率(けんぺいりつ)と容積率(ようせきりつ)は、土地にどれだけ建物を建てられるかを定める重要な指標で、都市計画法および建築基準法によって規定されています
■ 建ぺい率(けんぺいりつ)
■ 定義
「敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見た面積)の割合」のこと
■ 計算式
建ぺい率(%)=(建築面積 ÷ 敷地面積)× 100
■ 例
敷地面積が100㎡、建築面積が50㎡なら、建ぺい率は50%
■容積率(ようせきりつ)
■定義
「敷地面積に対する延べ床面積(各階の合計床面積)の割合」のこと。
■ 計算式
容積率(%)=(延べ床面積 ÷ 敷地面積)× 100
■ 例
敷地面積が100㎡、延べ床面積が150㎡なら、容積率は150%
■ 規制内容は用途地域ごとに異なる
第一種低層住居専用地域 建ぺい率50% 容積率100%または200%
商業地域 建ぺい率80% 容積率400%または500%
工業地域 建ぺい率60% 容積率200%または300%
※角地や防火地域の条件によって緩和される場合あり。
■土地を買う前、家を建てる前には、必ず都市計画図や役所の確認が必要です。
道路幅員による容積率制限とは
1. 道路幅員による容積率制限とは
建築基準法第52条第2項では、敷地が接している道路の幅が狭いと、建物の容積率(延べ床面積の制限)が自動的に下がるというルールがあります。
これは、日照・採光・通風などを確保するためです。
2. 基本ルール
容積率は、都市計画で定められた指定容積率と、道路幅員による制限値の小さい方が適用されます。
道路幅員による制限値は、以下の式で計算します。
容積率の限度=道路幅員(m)×制限倍数容積率の限度 = 道路幅員(m) × 制限倍数容積率の限度=道路幅員(m)×制限倍数
この制限倍数は、用途地域によって異なります。
3. 制限倍数
- 住居系の用途地域(第一種・第二種低層住居専用、第一種・第二種中高層住居専用、第一種・第二種住居、準住居、田園住居)
→ 倍数は 4/10(=0.4)、つまり「道路幅員 × 0.4 × 100」でパーセント化
例:道路幅6mなら 6 × 0.4 × 100 = 240% - その他の用途地域(近隣商業、商業、準工業、工業、工業専用)
→ 倍数は 6/10(=0.6)
例:道路幅6mなら 6 × 0.6 × 100 = 360%
4. 適用例
- 用途地域:第一種住居地域(倍数0.4)
- 指定容積率:300%
- 道路幅員:5m
計算:5 × 0.4 × 100 = 200%
→ この場合、300%ではなく**200%**が容積率の上限となります。
5. 注意点
- 接道している道路が複数ある場合は、幅員が最も広い道路側で計算します。
- 前面道路が4m未満の場合は、セットバック後の幅員で計算します。
- 指定容積率が道路幅員制限より低ければ、道路幅員制限は関係ありません。
斜線制限とは
1. 斜線制限とは
建物の高さを、一定の角度で制限する規定です。
周囲の日照・採光・通風を確保するために、建築基準法で定められています。
大きく分けて 3種類 あります。
2. 種類と内容
(1) 道路斜線制限
- すべての用途地域に適用
- 建物は、前面道路の反対側境界線から一定の角度で引かれた斜線内に収まる必要があります
- 基本は、道路中心線から1.25倍の高さまで(用途地域で係数や緩和あり)
- 例:幅員8mの道路 → 高さ制限は概ね10m(8m ÷ 2 × 1.25)
(2) 隣地斜線制限
- 住居系用途地域(第一種・第二種低層住居専用、第一種・第二種中高層住居専用など)に適用
- 隣地境界線から一定の角度で制限
- 開始高さは、第一種低層住居専用地域なら5m、中高層住居専用地域なら10mが一般的(自治体により異なる)
(3) 北側斜線制限
- 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域に適用
- 北側隣地の日照確保のため、北側境界線から一定の角度で制限
- 開始高さは5mまたは10m、角度は1.25倍または1.5倍など自治体で設定
3. 緩和や例外
- 防火地域・準防火地域で耐火建築物にする場合は緩和あり
- 角地や道路幅員が広い場合、制限が緩やかになることがある
- 地区計画や高度地区の指定がある場合は、その規定が優先
4. 実務上のポイント
- 建築設計時は、建物の断面図に斜線を描いて確認するのが基本
- 道路・隣地・北側の制限が同時にかかることもあるため、組み合わせの検討が重要
地区計画
■地区計画とは?
- ●住民によるまちづくりルールの提案をもとに、市が都市計画として決定する制度です。
- ●建築物の用途、敷地面積の最低限度、壁面位置や建物高さなどの制限が条例で定められます。
- ●区域内で建築・工作物の着手前には、30日前までに市へ届出が必要です。
■地区計画の主な規制例
- ●御園二丁目地区
低層住宅主体の居住地域を対象とした地区計画です。
- 敷地面積の最低限度:90㎡
- 壁面の後退:境界線から0.5m以上
- 建築物の最高高さ:A地区10m以下/B地区12m以下
- 色彩についても景観配慮の指針があります。
- ●橋本駅南口地区
再開発区域として、商業・業務と住宅の高度利用を目指し、歩道状空地の整備や用途用途・意匠の制限があります。 - ●相模台通り地区
座間市と相模原市の境界近くにあり、商業集積の形成を目的とした規制を定めています。
※相模原市は、東林間駅前地区、田名塩田原地区、緑が丘地区、橋本駅南口地区、大野台3丁目地区、 橋本6丁目地区、相模台通り地区、古淵駅周辺地区、原当麻駅東口地区、南台4丁目地区、しおだ地区、リバティ大通り地区、氷川通り地区、橋本都市拠点地区、田名久所地区、 橋本3丁目地区、桜台地区などがあります。
民法と借地借家法の退去通知
民法第617条(令和2年改正後の条文)
この条文は、「使用貸借」や「賃貸借」の終了時期についての一般的なルールを定めています。
特に「期間の定めのない賃貸借」に関して重要です。
■第617条(賃貸借の解約申入れ)
第617条
賃貸借の当事者は、いつでも契約の解約を申し入れることができる。
この場合において、相手方がその申入れを受けた日から、
- 建物の賃貸借では3か月
- 土地の賃貸借では1年
を経過することによって、契約は終了する。
■要点まとめ
①期間の定めのない賃貸借(更新を繰り返して期間の区切りが曖昧な契約など)
②当事者はいつでも通知できる
③建物:通知から3か月後/土地:通知から1年後
④この規定は民法の一般ルールであり、借地借家法がある場合にはそちらが優先されます
▲借地借家法との関係
①借家(住宅やアパートなど)の場合、借地借家法が適用されるため、民法617条だけでは足りません。
- ②正当事由が必要
- ③通知は原則6か月前
- ④借主の保護が優先される
■「民法第617条」はベースのルールですが、実際の退去や契約終了には特別法の理解が重要です
重要土地等調査法
■相模原市における「重要土地等調査法」の指定状況
相模原市については、重要土地等調査法(令和3年法律第84号)に基づき、以下のように指定が行われています。
「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)」
■安全保障上重要な施設や国境離島等の機能を阻害する土地利用の防止
- 注視区域の対象地
- 神奈川県相模原市には、防衛関係施設である陸上装備研究所および相模総合補給廠が存在し、その周囲おおむね1,000m以内が「注視区域」として指定されています。
- この注視区域は町田市の一部地域とともに対象となっており、相模原市内の該当するエリアも含まれます。
- 特別注視区域の指定状況
- 相模原市では、座間市に位置するキャンプ座間(座間駐屯地)周辺が主として「特別注視区域」に該当します。
■注意点・補足
- 「注視区域」は届出義務は課されませんが、国による土地・建物の利用状況調査が行われる可能性があります。
- 「特別注視区域」の場合、200㎡以上の土地売買等には国への届出義務があります。
- 指定状況は今後の法令改正や区域の追加により変動する可能性がありますので、正確には内閣府や自治体(神奈川県・相模原市)の公式発表資料をご確認ください。
■今後の確認方法
- 相模原市公式サイトの基地対策課や内閣府の重要土地調査法に関する専用ページで告示の内容や図面を確認できます。
- 特定の町丁目や土地について指定対象かを調べたい場合は、内閣府コールセンター(0570‑001‑125/平日 9:30〜17:30)へお問い合わせされることをおすすめします。
65歳以上の介護をしている方へ
■介護をしている65歳以上の方へ ~介護認定とケア施設の利用について~
介護をされている方の中には、ご自身が心身ともに疲れを感じている方もいらっしゃると思います。そんな方には、介護認定の申請やケア施設への通所をおすすめします。
なぜ介護認定の申請がおすすめなのか
介護を続けていると、知らず知らずのうちに疲れがたまり、身体の動きが鈍くなったり、うっかりミスが増えたりすることがあります。そのような状態が続くと、
要支援1などの認定を受けられる可能性があります。
介護認定を受けることで、心身のリフレッシュが可能になり、自分自身を大切にする時間が確保できます
■申請に必要なもの
介護認定の申請には、医師の診断書が必要です。まずはかかりつけの医師に相談してみましょう
■要支援1の認定を受けた場合
- ケア施設に通所できるようになります。
- 利用料の自己負担は1割~3割(保険適用)です。
- 月に1度、半日だけなど、ご自身の体調にあわせてスケジュールを組むことができます。
- 軽い運動やレクリエーション、相談などを通して、心身のケアが受けられます。
ケアマネジャーや施設のスタッフと相談しながら、無理のない範囲で安心して利用できます
■介護認定を申請できる人
- 65歳以上(第1号被保険者):日常生活で支援や介護が必要な方
- 40~64歳(第2号被保険者):加齢に伴う特定疾病により介護が必要になった方
■申請方法
申請は、以下の方法で行えます:
- 本人またはご家族
- 地域包括支援センター(高齢者支援センター)
- ケアマネジャー
- 特別養護老人ホームなどの介護保険施設に代行してもらうことも可能です。
ご自身の健康と生活の質を守るためにも、早めの申請を検討されることをおすすめします。何か不安なことがあれば、お近くの地域包括支援センターにお気軽にご相談ください







